愛媛医療生協(しんぶん)

2019.08.14 コラム
コラム 風を読む 2019年8月号

国民皆保険制度となって60年が近づく。自由開業医制と併せて皆保険制度は、どこでも誰でも、必要な医療を受けられる環境をつくり長寿日本の力となった。
しかし今、国民の4人に1人が加入している国民健康保険(国保)が危機的状況にある。1984年から国保財政への国庫負担削減が始まり、保険料が上がり続け、今では所得の1〜2割が保険料と高額になり、加入世帯の15%が保険料を滞納しているという。その3分の1の世帯に通常の保険証が公布されておらず、保険証が無い為、受診控えや手遅れ死亡にもつながっていると思える。
厚労省の調査では通常保険証不交付世帯の6割が年所得200万円未満だという。そもそも国保は退職後の無職高齢者や農林漁業、零細な自営業者など低所得者が多い保険であり、近年は派遣など非正規労働者が増えている。高すぎる保険料は大きな負担となっている。
昨年から国保が県の管轄となり、保険料のさらなる引上げが予想されている。協会けんぽなどと比べても高い保険料は皆保険制度崩壊につながる恐れがある。制度の見直しが急がれる。