愛媛医療生協(しんぶん)

2019.06.10 トップニュース
誰も取り残さない持続可能な発展

最近、下のカラフルなパッチワークの様な図柄を目にすることが多くなりました。SDGs「エス・ディー・ジーズ」、国連が世界に呼びかけた「持続可能な開発目標」のロゴです。世界が取り組むこの活動と、私たち愛媛医療生協との関係について考えてみました。

「つづかない」世界から「つづく」世界へ
“持続可能”が何故テーマになったのでしょう。それは1960年代から世界の経済は飛躍的な成長を遂げ、大量に生産して、大量に消費する生活スタイルが広がりました。
しかしその様なスタイルは地球の温暖化など環境悪化や資源問題、また深刻な格差を生み出し「成長の限界」と警告が発せられました。このままだと世界は「つづかない」。「つづく」スタイルに切り替えるため、世界から貧困をなくし、経済、社会、環境の3つの視点で持続可能な発展への見直しが始められたのです。

「エス・ディー・ジーズ」とは
「SDGs(SustainableDevelopment Goals:持続可能な開発目標)は人類と地球の持続可能な発展と成長のため、2015年の国連総会で「我々の世界を変革する:持続可能な発展のための2030アジェンダ」として発表された2030年までの行動計画です。
これは2001年から2015年まで取り組まれた国連の「ミレニアム開発目標」につづく目標です。途上国の開発に焦点を当てた「ミレニアム開発目標」は、貧困レベルの改善や開発援助の増進などの成果はあったものの、国や地域によって目標達成に格差が生じるなどの課題も残しました。
こうした教訓を活かして、限りある資源を活用しながら共生することを目指そうと、生み出されたのがSDGsです。日本政府もこの呼びかけに応え、首相官邸にSDGs推進本部が設置され、日本独自の「実施指針」に沿って、行政と企業、そして民間団体が一緒になって、取り組まれています。

色々な目標がつながりあった達成
2030アジェンダは「誰一人取り残さない」と言う考え方に基づいて17のゴール(持続可能な開発目標)と169項目のターゲット(具体目標)を掲げています。
このゴール設定の要点は、貧困の根絶と持続可能な社会の両立、不平等の是正、開発途上国だけでなくすべての国に適応されることです。そして17の開発目標は、例えば、「経済成長」か「健康と福祉」かどれか1つの達成を目指すものではなく、それぞれが関連しあって解決することではじめて、目指す世界が実現されるという考え方なのです。

「健康づくりの生協」が目指す健康
私たち愛媛医療生協は「健康づくり」の生協です。医療・介護・福祉の事業所と支部の支え合い、仲間づくりを結んで、より活き活きとした毎日をつくります。
今話題の「健康格差」の研究では、経済的、社会的な環境、人と人とのつながりの強さと健康寿命の関係が報告され、極端な格差や孤立が健康を害することを明らかにしています。
私たちが目指す健康には、この取り組みが不可欠になります。「エス・ディー・ジーズ」の宣言は「私たちは誰一人取り残さないことを誓う」そして最後に「最も取り残されている人々にこそ、第一に手が届くよう、最大限の努力を行う」と呼びかけます。
私たちの今年の総代会方針でも、この「誰も取り残さない」まちづくりが呼びかけられました。健康づくりを目指す私達だからこそ、この呼びかけに積極的に参加したいと強く思うのです。

(文・中塚 崇司)