- 2019.01.10 医療活動版
- 拘縮(こうしゅく)のある方の在宅での介護
ショートステイ陽だまり 施設長
中屋 浩美
在宅で介護をされている方は、日々奮闘されている事と思います。愛情なくしては、介護はなり立ちません。不安な事や、気になることなど一緒に考えていけたらいいと思っています。私の職種は看護師ですが、長年、介護現場でお仕事をさせて頂いており、色々な経験もさせて頂きました。介護をされている方のご苦労もたくさんお聞きしました。これからも、遠慮なく現場にいる私たちにご相談ください。今回、拘縮のある方の介護で、体位交換やオムツ交換についてご説明したいと思います。
体位交換
健康な人は夜、知らず知らずのうちに寝返りを打っていますが、高齢者、特に、拘縮のある方は自分での寝返りは困難です。その場合、介助者が、時間ごとに体位交換をしてあげなくてはいけません。床ずれ、褥瘡(じょくそう)の原因になるからです。方法は基本的な事と変わりありませんが、本人の協力が難しい場合、「スライディングシート(写真1)」といった体の移動のしやすい道具もあります。簡単に方法を紹介します
1. 一旦寝返りしたい方向と逆に体を移動します。(写真2)
2. 向く方向に立ち、ゆっくりと身体を横にします。(写真3)
3. 背中に安定できる枕を添えます。あまり堅い物でなく、安楽に過ごせるものが良いでしょう。(写真4)
4. 重なった足を少しずらし、足の間にうす手のクッションを挟みます。重なる部分が褥瘡になりやすいからです。(写真5)
5. 下側の肩を少し移動し、圧迫感を無くします。
出来れば2時間程度で向きを変えて上げるといいでしょう。仰向けを挟んでも構いませんが、やせている方や、ベッドが硬めの方などは、少し短めの方がいいと思います。
介助者は大変ですが、床ずれを作らないためにも、どなたかと協力しながら行って差し上げましょう。
写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
オムツ交換
股関節も固くなっており、足を開くと苦痛が伴う方もいらっしゃいます。急に開かず声掛けをしながらゆっくり開くようにすると緊張もなくなるかもしれません。陰部洗浄や、オムツ交換自体は側臥位からでも可能ですが、オムツをセットするためには、仰向けになってもらわないとやりにくい場合もあります。日頃から、枕を挟んで膝が密着しないように等、ショートステイ陽だまりでも苦労しています。股関節のストレッチを少しずつするとよいそうです。オムツの幅さえ開いてもらえればいいので、全体を無理することはないと思います。いろいろ考え方もあるし、方法もあると思います。
先ほど紹介した「スライディングシート」も購入できるのでケアマネジャーに相談してみて下さい。
介護する側もされる側も、お互いに感謝の気持ちを持って行えるといいと思います。