- 2019.07.09 コラム
- コラム 風を読む 2019年7月号
「自助」「共助」。社会保障と税の一体改革で強調されてきた言葉だ。「持続可能な社会保障」のために消費税増税と、税収を社会保障にあてるとの政策だった。しかし、8%への増税後も社会保障費は削減され続けている。
年金だけでは老後30年生きるのに2千万円不足することが明らかとなり、国民の不安と怒りが増している。金融審議会報告は「年金だけでは足らないので、現役時、リタイア前後、高齢期に必要な資産運用を」促すものとなっている。不足は自分で補えと「自助」を促すものだ。給与・退職金も減少し、貯蓄ゼロの国民が増えている状況でそれが可能と考えているのか。
さらに、安倍政権の次なる政策は、年金支給開始年齢引き上げ、70歳まで働ける環境づくり、全世代型社会保障などだ。国民はすべて「自助」「共助」が軸だ。
年金だけで生活できるようにすべきかどうかの意見もあるが、基本的には誰でも「健康で文化的最低限の生活を保障」するためには年金制度の充実が必要である。財源問題も含めた年金政策を政府も政党も示し、参議院選挙で議論を活発に行うべきだ。