- 2019.05.10 コラム
- コラム 風を読む 2019年5月号
「保険証あっても受診できない。社会的に奪われた77人のいのち」。愛媛医療生協の事業所も加盟する全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査結果である。経済的困窮で受診できないまま亡くなった事例やなんとか受診したがすでに手遅れ状態で、短期間で亡くなった事例が昨年は77件あったとのこと。民医連は2005年から経済的事由による手遅れ死亡事例を加盟各事業所からまとめている。当初の30件代から近年は毎年70件前後となっている。昨年は無いが愛媛でも過去に6件あった。
事例の半数以上が独居であり、社会的に孤立しやすい状況だった。無職、非正規就労が半数超。国民健康保険や無保険が多いなどの特徴がある。体調不良を自覚しながらも医療費が捻出できず受診を先延ばししている事例が多い。
又、近年は外国人労働者や家族に障害を持つ人がいるなど、経済的困難に加え、複合的な困難を抱えている人に支援が届かず、社会的に孤立している実態も明らかとなっている。
この数は加盟事業所だけで全国でみれば氷山の一角だろう。医療機関がその方の生活背景を把握しなければ、経済的・社会的困難に気づかずに終わる。
早期に受診し、治療ができるよう、地域で、「困った」が出せる、解決するつながりづくりが益々急がれ、隅々まで必要だ。