愛媛医療生協(しんぶん)

2020.07.01 トップニュース
新型コロナと私たちの未来

「疎開から戻ってきたみたい」この度のコロナ自粛について患者さんから聞いた衝撃的な言葉です。さながら戦争に例えられる新型コロナウイルス感染症の流行、これからどうなっていくのでしょうか?

 

ウイルスとの共存

 地球の歴史をふりかえれば、コロナをはじめとするウイルスは私たち人類や祖先となるほ乳類よりもはるか太古より存在していた大先輩です。ある種のウイルスとの共存により生物が飛躍的に進化したとさえ考えられています。もともと新型コロナウイルスはコウモリを宿主としていました。それがコウモリと人間の生活圏が重なり、遺伝子変異を起こして人間に感染するようになり拡がったと考えられています。

 人類は感染症の脅威に繰り返しさらされてきました。その度に数多の死傷者を出しながら克服してきました。公衆衛生やワクチンという予防策、治療薬、それらは人類の適応の証です。しかしいつまでも人類が勝者とは限りません。数十億年というウイルスの歴史からすれば、たかだか数百万年の人類など比肩しようもありません。端から勝負にならないため、個人的には戦争に例えることは勧められません。地球との共生ととらえ直すこともできるでしょう。

 

コロナ禍で見えたものは…

 今回のコロナ騒動はこれまで水面下に押しとどめられていた諸問題を露わにさせました。早く日常が戻ればいい、そんな声をよく聞きます。よく考えてください。コロナ禍より以前の不条理な世界に後戻りしていいのでしょうか?

 イタリアの物理学者・小説家のパオロ・ジョルダーノが現地新聞に寄稿したエッセイ「コロナの時代の僕ら」にこのような一節がありました。「・・・そんな風に全部リセットされるのも怖いが、その逆も怖い。恐怖がただ過ぎ去り、なんの変化もあとに残さないのも、怖い。」

 

新しい日常のために

 活動自粛により、社会や人とのつながりがいかに大切か、再認識されたと思います。そのつながりのことをソーシャル・キャピタルと呼びます。医療生協の活動は地域のソーシャル・キャピタルの一部なのです。

 さて活動再開にあたり注意しておきたいことをまとめます。気を緩めることなく感染対策をしてください。主な感染経路は接触感染と飛沫感染です。こまめな手洗い、咳エチケット、換気、体調不良の時は休む、風邪?と思った時もあわてず自然経過を見守り改善しない場合に受診する、などは応用の利く手立てです。

 またウイルスが目に見えないということもありますが、病気は0か100ではありません。今罹っていなくても明日に感染するかもしれず、症状がない場合もあれば、死に至る場合もあり、予測がつきにくく、そしてやり直しができません。0から100の間のあいまいな状態を受け容れざるをえない、その真実を了解する必要があります。

 自粛明けの生活を「自衛」する毎日がいいですか?それともお互いが思いやり支えあう「協同の営み」がいいですか?

 新しい日常にユーモアをお忘れなく。