愛媛医療生協(しんぶん)

2019.10.10 医療活動版
高血圧のガイドラインが変わりました。

泉川診療所 医師
吉田 克己


医学生(奨学生)と、往診に出かける吉田医師(中央)

2019年5月、日本高血圧学会から、「高血圧診療ガイドライン2019」が発表されました。2014年に発表されたガイドラインに比べて、「生活習慣の介入が必要な血圧値」が10mmHg下がり、140/90mmHgから130/80mmHgになりました。

「高値血圧」の方
130~139/80~89mmHgの血圧を、「高値血圧」と呼び、脳心血管事故の既往や、非弁膜性心房細動、糖尿病、蛋白尿のある慢性腎臓病の患者では、生活習慣の指導を行い、一ヶ月後に再評価し、十分な降圧がなければ生活習慣の修正と薬物療法を開始することになります。

75歳未満の方
75歳未満の成人の降圧目標も10mmHg下がり、治療目標130/80mmHg未満になりました。冠動脈疾患患者、蛋白尿陽性の慢性腎臓病患者、糖尿病患者、抗血栓薬服用中の患者も130/80mmHg未満になります。

75歳以上の方
75歳以上の高齢者、脳血管障害患者、蛋白尿陰性の慢性腎臓病患者は140/90mmHg未満になりました。

家庭血圧
家庭血圧の評価や治療目標は、診察室血圧の5mmHg引いた値です。75歳未満の成人の家庭血圧の治療目標は125/75mmHg未満と、なります。このような変更があった根拠は、120/80mmHg未満の人の合併症発症率が一番低く、120~129/80~84mmHg、130~139/85~89mmHgの順に脳心血管病の発病率が高い事が研究成果から明らかになったので120/80mmHg以上の人を正常とするわけにはいかず、何らかの治療介入(生活習慣改善などの非薬物療法)を行う必要があると判断されました。

治療中の方
既に降圧治療中の患者で130~139/80~89mmHgの場合は、通常は生活習慣の修正を強化し、高リスク患者(脳心血管事故の既往、非弁膜性心房細動、糖尿病、蛋白尿のある慢性腎臓病の患者)では降圧療法の強化も含めて、130/80mmHg未満を目指すとされました。
この内容を正確に理解するのは大変だと思います。診察時に担当医とよく相談して、治療方針を決めてください。