愛媛医療生協(しんぶん)

2019.11.06 医療活動版
先天性風疹症候群を知っていますか

愛媛生協病院 研修医
川嵜 美智子

先天性風疹症候群という病気を知っていますか。妊娠初期にお母さんが風疹ウィルスに感染し、お腹の胎児に感染することによって、生まれつき心臓や聴力、視力、精神発達などの障がいを持ってしまう病気です。風疹は感染しても数日で治癒しますが、先天性風疹症候群は治すことができません。厚生労働省の発表では、今年1月から6月の間に、すでに3人の赤ちゃんが先天性風疹症候群として生まれたそうです。2018年の夏頃から風疹が流行しており、今後も先天性風疹症候群の赤ちゃんが増える可能性があります。

接種率が低い世代
現在なぜ風疹が流行しているのでしょうか。それは予防接種の制度に問題があったからだと思われます。
1962年~1979年生まれの人達(現在39歳~56歳)は女子のみ集団接種対象であったため、男性は定期接種の機会がなく、抗体を持っていない人が多い世代です。
1979年~1987年生まれの人達(現在30歳~39歳)は男女とも風疹ワクチンの接種対象となりましたが、集団接種を廃止したため、接種率が低い世代です。つまり妊娠・出産を経験する世代の男女、そして社会で活躍する世代の男性が抗体を持っていない人が多いことがわかります。
ちなみに現在の風疹予防接種は、麻疹風疹混合ワクチンという、国が定める定期予防接種の一つとして、1歳の時に1期、小学校入学前に2期の合計2回、無料で接種できます。

感染源はあなたかも…
風疹ウィルスは咳・鼻水などでひろがります。軽い風邪のような症状から始まり、その後、発疹、発熱などの症状が続き、3日ほどで症状は良くなります。また不顕性感染といって、症状が全く出ないこともあり、気付かずに学校や仕事に行ったり、買い物に行ったりして、知らない間に感染を拡げてしまいます。

無料券を利用しよう
2回の予防接種を受けると、しっかりと抗体ができ、風疹にかかりにくくなります。40~50代の男性で対象となる方には、自治体より抗体検査と予防接種の無料券が配布されています。無料券を利用して抗体検査を受けましょう。
先天性風疹症候群は防げる病気です。生まれてくる赤ちゃんを守るため、風疹の予防接種について考えてみてください。

※愛媛医療生協の各病院・診療所でも、風疹の抗体検査並びに予防接種を行っておりますので、ぜひお近くの事業所をご利用ください。